まず◯◯弦から合わせよう【プロ直伝】ギターチューニングの基本
今回は、チューナーを用いたオーソドックスなギターのチューニング(調弦)方法について解説します。
エレキ・フォーク・クラシック問わず、どんな種類のギターにも適応できるチューニング方法です。
記事最後には、わたくしが実際にやっているチューニング方法も紹介したいと思います。
チューナーをギターのヘッドに取り付ける
今回は、KORG(コルグ)のクリップ式チューナー「ピッチクリップ PC-1」を用いて解説します。
チューナーには、メトロノームやエフェクターについているものなどさまざまな種類のものがあり、最近ではスマートフォンのチューナーアプリなどもありますが、使用方法に関しては今回解説するものと基本的には同じですので参考にしてください。
まず、クリップ式チューナーの写真を見てください。
このクリップになっている部分をギターのヘッド部分に取り付けます。
チューニングは音を出しながら行う作業ですので、普段ギターを弾く姿勢に構えましょう。
チューナーのディスプレイは可動式になっているので、見やすい位置に調節します。
ディスプレイの裏側に電源ボタンがあるので電源をONにします。
試しに適当に音を鳴らしてみてください。
ディスプレイに赤、あるいは緑の点のメーターとCやDといったアルファベットの大文字が表示されると思います。
これで準備は完了です。
各弦の音の確認
一般的に、ギターには6本の弦が張られています。
それぞれの弦によって合わせる音が異なりますので確認しておきます。
6本の弦にはそれぞれ名称があり、一番細い弦(クラシックギターの場合はナイロン弦、エレキ・フォークギターの場合はスチール弦)を「1弦」と呼び、弦が太くなっていく順に「2弦」「3弦」「4弦」「5弦」「6弦」となります。
よって、一番太い巻き弦が6弦です。
チューニングの際には、6弦をE音(「ドレミファソラシド」のミの音)、5弦をA音(ラの音)、4弦をD音(レの音)、3弦をG音(ソの音)、2弦をB音(シの音)、1弦をE音(ミの音)にあわせます。
6弦から順に書くと、EADGBE(ミラレソシミ)です。
ちなみに、日本語の「ドレミファソラシド」はCDEFGABCです。
チューナーの使い方
それでは、チューナーを用いて実際にチューニングしてみましょう。
まずは、6弦をEに合わせます。
6弦を弾いてみてください。
ディスプレイに表示されたアルファベットがEでなければ、Eが表示されるまでペグ(糸巻き)を回してください。
ここでの注意点ですが、弦を鳴らした状態でなければチューナーは反応しませんので、しっかりと弦を鳴らし、音が鳴っている間にペグを回してチューニングします。
ギターの音はすぐに消えてしまうので、音を鳴らしてペグを回して、音が消えたらまた鳴らしてその間にペグを回して……といった作業の繰り返しになります。
さて、ディスプレイにEが表示されたでしょうか。
そうしたら、今度は音程を調節していきます。
音程はディスプレイの上部に点灯する赤と緑の点によって示されます。
緑の点はディスプレイの中央に1つだけあり、その両側には複数の赤い点があります。
緑の点は正しい音程を表しているので、ディスプレイにEが表示された状態で緑の点が点灯していれば6弦のチューニングは完了です。
ここでの注意点ですが、無理に緑の点の一点だけになるまで頑張る必要はありません。
緑の点が点灯していれば、同時に両脇の赤い点が点灯していても問題ありません。
ここまでで6弦のチューニングが終わりましたが、5弦から1弦までのチューニング方法もこれと全く同じですのでトライしてみてください。
参考:ギターチューナー(チューニング・メーター)の種類と特徴
上級者、プロ向けの実戦的なチューニング方法
この記事の最後に、上級者やプロに向けた実戦的なチューニング方法をご紹介します。
チューニングにはさまざまな方法があり、人によっても異なります。
この記事ではチューナーを用いたギターのチューニング方法について解説しましたが、実は……この方法ではうまくチューニングできないのです。
難しい話は省きますが、一般的にギターにはフレットがあり平均律といったもので音が分けられていて、これでは完璧にチューニングすることは不可能なのです。
さらに、ギターはエレキでもフォークでもクラシックでも、どんな種類のギターでも他の楽器と比べて非常にチューニングに弱い楽器なのです。
それらを踏まえた上でチューニングしなければならないので、実はチューニングというのはとても難しく神経のいる作業なのです。
よって、おおげさに言うのではなく、チューニングの下手なプロだって大勢いるくらいなのです。
ちなみに私のチューニング方法ですが、まず3弦をチューナーで合わせます。
これはエリック・ジョンソンもそうしていたようですが、3弦というのは音程が非常に不安定な弦なので、まずはそこから合わせてしまえというわけです。
そうしたら、弾く曲の調整やハーモニー(和音)、また音が歪みやすいフレーズに対応してチューニングしていきます。
つまり、曲によってチューニング方法が異なるのです。
ちなみにこれはソロで弾くときのチューニング方法で、セッションの時にはまた異なります。
誰かと合わせるときに自分勝手にチューニングしても意味がありませんから。
といった具合に、チューニングはとても奥が深い作業なのです。
チューナーを用いたチューニングに慣れたら、少しずつ自分の好みのハーモニーが出せるように試行錯誤してみてください。
今回はチューナーを用いたオーソドックスなギターのチューニング方法について解説しました。
ライタープロフィール
ギタリスト
大沢稔
作曲家、ギタリスト、マルチインストゥルメンタリスト。
パリ国立地方音楽院クラシックギター科卒。
フランスのブーローニュ・ビヤンクール国立地方音楽院、オルセー県立音楽院のクラシックギター科教授歴任。
現在、新潟県上越市にて自身の創作、演奏活動を、また、ギター・英語・フランス語教室を主宰している。
大沢ギター・英語・フランス語教室
http://minoruohsawa.wixsite.com/ohsawaguitar