シールドの作り方。収縮チューブの重要な役割について
ギターやベースキーボードなど、さまざまな楽器で欠かせない存在となっているシールド。
販売されているものを使うのももちろん最高なのですが、自慢のエフェクターボードのパッチケーブルの長さがあまり過ぎていたり、あともう少し長ければと悩むことはギタリストであれば誰しもが一回は経験していると思います。
そんな悩みは自作シールドで解決できます。
自作シールドを初めて作る人も少し慣れてきた人もついつい忘れがちな、先に通しておかなければいけないキャップと収縮チューブについて、しっかり解説しています。
自作シールドのメリット
自作シールドにはさまざまなメリットがあり既製品に対する不満を解消してくれます。
自分の思い通りの長さで作ることができる
好きな長さにできるとエフェクターボード内もスッキリまとめることでステージでもかっこよく見えます。
オシャレは足元からとも言いますしギタリスト仲間からもうらやましがられます。
まだまだ自作シールドのメリットはいっぱいあります。
既製品を買うよりも安く手に入れることができる
もちろん既製品は素人が半田付けした時よりも奇麗な光沢を放っていますが、価格は割高です。
3メートルのシールドだと数百円の違いですが、エフェクターを多用しているギタリスト
だと何本ものシールドを必要とするため数が増えると数千円の違いが出てきます。
たかが数千円の違いと思うかもしれませんが、スタジオの練習代が浮いたり消耗品のギター弦を一つ多く買えたりとお金のかかるバンド活動には大きなメリットだと言えるでしょう。
ケーブルとコネクタの組み合わせを楽しめる
既製品のシールドは、ほとんどがケーブルとコネクタが同じメーカーだったりします。
しかし自作シールドはベルデンのケーブルにOYAIDEのコネクタをつけて、半田はKester44を使用したりとサウンドをどこまでも追求することができます。
断線しても修理することができる
シールドの自作方法を知っていると直すのも簡単にできてしまいます。
シールドの断線は多くの場合コネクタ付近で発生するためギターを弾いていて、ブツブツ音が途切れたりしたら両方のコネクタ付近をクネクネすると断線箇所を大体特定することができ、断線箇所より内側はまだ使用できるので、切って再度コネクタを半田付けしなおせば元どおり使用することができます。
シールドの作成手順
シールドは電源回路などがないので、感電する心配はありませんが、半田付けする際に半田ごてを使用します。
半田ごては非常に高温になるので、やけどや火事にならないように細心の注意を払い行いましょう。
用意するもの
- 半田ごて
- 半田
- 半田吸い取り線(失敗した時用)
- 切り売りのケーブル
- コネクタ(2個)
- 収縮チューブ
- ドライヤー
- カッター
- ニッパー
- ラジオペンチ
- ワイヤーストリッパー
- 万力
- テスター
シールドを何本も自作している私ですが、いつものように忘れてしまうのが、収縮チューブを通し忘れてしまうことです。
収縮チューブは、サビや腐食から守ってくれたり絶縁するために用いるもので、ホームセンターなどで販売しています。
ホームセンターにおいているものは、品数が少ないのでネットで購入することもおすすめです。
収縮チューブは収縮前の太さと収縮後の太さで選ぶようにしましょう。
ケーブルが太すぎて収縮チューブが入らないということがないように、自分の作るシールドの太さも確認しておくことをおすすめします。
収縮チューブには、高収縮チューブという収縮前に結構太いのに収縮後はすごく細くなるようなものまであります。
収縮チューブの種類はRSコンポーネンツで確認して自分の必要なサイズを調べておきましょう。
収縮チューブなんて伝送している信号に関係してないだろうと思う方もいるかもしれませんが、コネクタのキャップの部分はスリーブと導通しています。
ほとんどのフォンコネクタのチップ側の配線は、キャップの部分とわずかな隙間しか開いていません。
電気というのは正直なので触れていれば導通、触れていなければ導通していないです。
ここが導通してしまうとブツブツなったりして、ライブ中に変な音がなってしまって、その日の打ち上げは反省会になってしまうことでしょう。
そうなりたくなければ必ず収縮チューブで絶縁保護を忘れずに施しましょう。
万力とテスターはなくても作ることができますが、あったほうが作業効率が上がるので数本作る人は用意しましょう。
ケーブルを半田付けできる状態にする
シールドを作るにはまずシールドの構造を知らなければいけません。
シールドケーブルとは、金属製の導線を用いる電気通信向けのケーブルのうち、導線を金属製の箔や組み紐などで覆ったもの。外部からの電磁ノイズの干渉を防ぎ、また、内部に複数の導線がある場合は導線間相互の干渉を低減することができる。
引用:IT用語辞典
つまりシールドというのは編み込まれた導線で覆われたものなので、楽器で使うケーブルだけがシールドという訳ではなくマイクケーブルもシールドということになります。
シールドの構造は外側に編み込まれた導線があり、中央に芯線があります。
これが重要でどちらの導線も使用するので一番外側の被覆だけを取り去らなければいけません。
先にコネクタのキャップと収縮チューブを通しておきます。
これを忘れて半田付けしてしまうとやり直しになるので絶対に忘れてはいけません。
親指の爪の長さくらいでコネクタの被覆を剥きます。
ワイヤーストリッパーのワイヤーカッター部分で切り込みをいれて、一周切り込みを入れるとスッと抜けます。
カッターの刃でも同じようにできます。
抜けたら編み編みのシールド導線を片側に寄せてクルッとねじります。
すると中央にいる芯線を覆っている被覆が出てきますので薄い被覆のみを剥きます。
芯線の方は半田付けする先端の部分のみ透明なところを剥きます。
ワイヤーストリッパーの自動で剥けるタイプのものを使用するとあっという間に剥けてし
まいます。
ケーブルに半田を染み込ませる
コネクタに半田付けしやすいようにケーブル側の導線にあらかじめ半田を染み込ませておきます。
これでケーブル側の準備は完了です。
コネクタの準備
コネクタ側にもあらかじめ半田をのせておきましょう。
これもケーブルとコネクタを素早く半田付けするためです。
取り付け
両方に半田がついたらいよいよ取り付けます。
コネクタの短い側がケーブルの中央の導線、コネクタの長い側がケーブルの外側のシールド導線を接続します。
コネクタの短い側を先に半田付けします。
次に長い側を半田付けします。
コネクタの長い側についているツメをラジオペンチでケーブルを固定するように曲げます。
ここで一旦、導通チェックをします。
収縮チューブは一回収縮してしまうと再利用はできないためです。
今回は導通チェックのモードしか使用しませんがテスターの使い方を詳しく勉強しておくと、これから自作エフェクターなどに挑戦するときに役に立つでしょう。
収縮チューブを半田付けした箇所まで戻してドライヤーで温めると、収縮チューブがだんだん縮まってぴったりフィットします。
吸い付くように張り付いたらそれ以上はあたためないでください。あたためすぎると今度は変形していきます。
最後にプラグキャップを締めて終了です。
同様の手順で反対側も半田付けするとシールドのでき上がりです。
難しい作業ではないのでぜひ一度やってみてはいかがでしょうか。