マッチレス・アンプ 体験したい最高のギターアンプ MATCHLESS
MATCHLESSというアンプメーカーをご存知でしょうか。
ブティックアンプやハイエンドアンプなどと称されるアンプメーカーの中でもその代名詞と言えるアメリカのアンプメーカーです。
代表機種はDC-30という30WのモデルでVOX AC-30を範として設計されたようです。
もくじ
敢えてクリーン~クランチに特化
マーク・サンプソン氏が1989年に設立したメーカーですが、1989年頃といえばほとんどのギタリストがよりハイゲインを求め、それに応じるような形でアンプメーカー側もよりハイゲインなアンプを作っていった時代です。
そのような時代にあって敢えてクリーン~クランチに特化したアンプを作り、90年代にそれが市場に受け入れられていきました。
太くパンチのあるサウンド
クリーンサウンドはとても太くパンチのあり、それでいて透き通るような音で、オーバードライブはエッジのきいた歯切れの良い音が特徴でしょうか。
30Wとはいえ2発の12インチスピーカーからはかなりの爆音を出すことが出来ます。
2ch仕様で左チャンネルが1ボリュームのクリーン担当、右チャンネルがマスターボーリューム付きで歪み担当となっていますが左チャンネルのボリュームを上げていくととても気持ちの良い絶品のクランチサウンドが得られます。
ただし爆音になりすぎて使えるシチュエーションはそうそうないのが残念です。
変則的なスピーカー
そして右チャンネルのマスターボリュームはバイパスさせることが可能です。
スピーカーも特徴的です。
セレッションの12インチが2発なのですが25Wと30W(耐入力)という違うスピーカーを積んでいます。
これらの点にMATCHLESSの拘りが見えるように思います。
MATCHLESSの魅力
そしてアンプ前面の「MATCHLESS」のロゴプレートは電源を入れると光ります。
それがまたかっこいいのです。
このアンプの音そして光るロゴマークに私は惚れこんでしまいました。
しかし価格が大きな壁となって立ちはだかります。
新品価格55万~。
9Wのミニアンプ
中古も考えましたが中古でも高い。
MATCHLESS社は96年に一度倒産しており数年後に復活。倒産前のいわゆるサンプソン期の物は新品の売価を上回ります。
しかも真空管アンプだけにコンディションも気になる、と購入に踏み出せない状態でした。
既にバンドで使う真空管アンプは既に持っていましたし。
そんな状態で悶々としていたときに、MATCHLESSから出力9Wのミニアンプが出るとの情報を得ました。
日本のみの販売で台数限定らしいとのことで早速いくつかの楽器店に電話で確認してみるも予約分のみ入荷で既に売切れあるいは1台も確保できなかったとの返答。
諦めていたらキャンセルが出たと連絡が入り、すぐさまその楽器店へ車を走らせ試奏させてもらって即購入し、無事家に連れ帰ってきたのであります。
それが私の愛すべきMATCHLESS 9 With Attitudeです。
高さ、横幅約30cm、奥行き約19cm、重さ約8kgの可愛いMATCHLESSです。
8インチスピーカーにコントロールはVOLUME,TREBLE,BASSそしてMASTERがあるので、クリーンからオーバードライブまで可能です。
もちろんDC-30には敵うはずもありませんがMATCHLESS「らしさ」は十分あります。
若干気になる点はボリュームを上げていくと比較的早い段階で歪み始めることでしょうか。
ローが出てこないのは8インチという小口径スピーカーゆえでしょう。
おおむね満足な出来の9WAであります。
良いものは良い
やはり良いアンプだとギターを弾くのが楽しいです。
練習も苦にならないと言いますか。
正確には苦になる部分はあるのですが。
というのもMATCHLESSに限らず、良いアンプはギターの音を素直に再生します。
良いギターであれば良い音がしょぼいギターであればしょぼい音がという風にです。
そしてギターだけでなく演奏者が上手ければ良い音を、演奏者が下手くそだと下手くそなのがわかってしまう音を出すのです。
MATCHLESSは特にそれが顕著なように思います。
特に右手(ピッキング)が鍛えられますよ。
MATCHLESSを見かけたら
楽器店で見かけたら是非試奏してみてください。
衝撃を受けるかもしれません。
そしてご自身の持つ使用機会の少ないギターやエフェクターを売って金策に奔走するかもしれません。
そんな魔力を持つMATCHLESSの話でした。
9 With Attitudeの後日談
9WA発売からしばらくしてほぼ同じ仕様のThe Little MonsterがMATCHLESSから日本限定でなく、そして台数も限定ではないレギュラーラインナップとして発売されました。
大きな違いはスピーカーの口径が8インチから12インチになったことです。
弾いてみて唖然。めちゃくちゃ良い音です。
やはりMATCHLESSに8インチのスピーカーは荷が重過ぎたかと思ったと同時に、スピーカーを12インチにするなら既にLightning112というDC-30に次ぐ名機があるじゃないかと思いながら楽器店を後にしました。