ギターの効果的な練習方法。今すぐやめるべき無駄な練習とは?
今回は、恐らく皆さんが悩まれるであろう「どのように練習すればギターがうまくなるのか?」というギターの上達法や、効果的な練習方法について解説します。
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効果的な練習と無駄な練習
まずはじめに、「無駄な練習」というものがあることを必ず知っておいてください。
練習時間と上達具合は比例関係にはありません。
つまり、練習に時間をかければかけるほどにギターが上達する、というわけではないのです。
もちろん長い非効率的な練習をへて効果的な練習方法を見いだすということはあります。
しかしギターという歴史もあり世代ごとに技術が飛躍的に上昇している楽器に取り組むに当たり、自力で非効率的な練習に貴重な時間を費やすのは賢い選択とはいえません。
エレキギターで言えば、神業と思われていたイングヴェイのプレイもペトルーシの世代にとっては単にハーモニックマイナーを上下に速く弾いているだけに映っていますし、今現在のキッズはごく普通にペトルーシのフレーズを弾いてYouTubeにアップしています。
クラシックギターで言えば、一昔前の第一線のプロが何とか頑張って弾いていたものをキッズが平然と弾いています。
ギター演奏技術は科学技術と同様日進月歩です。
効果的な練習と無駄な練習をしっかり意識することでより早く、より短い時間でギターが上達するのです。
効果的な練習とは?
さて、それでは効果的な練習とは一体どんなものなのでしょう?
それは各練習において「明確な目的を持つこと」です。
例えば、私は小学校4年生のころからバスケットボールをやっていたのですが、始めたばかりのころ、練習前にみんなでするストレッチの意味がわかっていなかったのです。
みんなと同じ動作をして声を出して、ただ単にこなしているだけでした。
しかし、ストレッチには、関節をあらかじめ伸ばしておいて体をほぐして暖め、より良いパフォーマンスができる状態を準備すると同時に、ケガを防止するという非常に重要な役割があります。
適当にやってもあまり意味がありません。
私がそれに気づいたのはしばらくたってからでした。
話は戻りますが、各練習において「明確な目的を持つこと」とはこのようなことなのです。
その練習をすることで、どのような能力を身につけたいのかを意識して練習しなければなりません。
無駄な練習とは?
続いては無駄な練習について。
無駄な練習は効果的な練習の逆で「目的を持たない練習」です。
その最たるものが「ノルマ式の練習」です。
効果的な練習をしている人は常に目的を持っているため、例え同じエクササイズをするのであっても毎回違うことをしているのです。
例えばCアイオニアンを上下する練習があるとして、これは一見、非常に単純に見えます。
しかし、人によっては無限のエクササイズになりうるのです。
例えば「今日は昨日よりも奇麗な音が出せるようにしよう」「ノイズをもっと減らして滑らかにしよう」「ダイナミクスの変化をつけてみよう」「緩急をつけよう」「もっと脱力しよう」「呼吸と体で表現しよう」。
無限に改善方法があるのです。
そしてそれを通して上達するのです。
そのような改善や改良を無視した練習方法が「ノルマ式の練習」です。
ノルマ式の練習とは?
ノルマ式の練習とは文字通り、ノルマに従った練習方法です。
私の経験を通して感じることですが、プロ志望で毎日1日中練習ができるような極めて裕福な家庭のお子さんなどでノルマ式の練習をしている方が非常に大勢います。
私が実際に対バンで出会った方の例ですが、毎日の練習ノルマが10時間という方がおられました。
人差し指と中指のスケール練習を1時間、人差し指と薬指のスケール練習を1時間、中指と薬指のスケール練習を1時間……といった感じで練習されているそうで、コンサート前にもウォーミングアップでスケール練習をされていたのですが、ミスろうが何しようがお構いなしという感じでした。
これがノルマ式の練習の例です。
何かを「より良くしよう」というのではなく、ただノルマを果たすために指を動かしているだけです。
クラシックギターの巨匠でこのような練習方法をされている方が居たようですが、時間がかかるため誰でもできる練習方法ではありませんし、効率も良くないでしょう。
この練習の利点といえば、逆説的、または皮肉的になってしまいますが「頭を使う必要がないこと」です。
改善、改良をおこない、どのような目標を達成するのか考えて工夫する必要がないことです。
しかし、少なくとも私にはそういった音楽が魅力的には思えません。
また、ノルマ式の練習をしている方の多くがプロを断念すると楽器を完全にやめてしまいます。
もちろん人生は人それぞれですが、やはり悲しいと感じざるを得ません。
ギターは言葉で言い尽くせないほど楽しい楽器ですし、上達すればするほどますます面白くなり自分の世界を広げてくれます。
より良い練習方法を選び、上達して楽しめる方が増えて、より良い音楽、音楽ライフが生まれてくるのを願うばかりです。
私の練習方法
この記事の最後に私の練習方法についてお話します。
とその前にMr.Bigのベーシスト、ビリー・シーンが「練習というのはできないことをすることだ」と言っていました。
まさにその通りです。
できることをいくらやったって未知の領域に踏み入れることはできません。
一方で、できないからといって悲観する必要もありません。
できないからこそできるようにするために練習するのですから。
さて、私の練習方法ですが、特定の基礎練習などはおこなっていません。
曲を弾いていて、どうしても弾けないパッセージやスムーズに弾けない部分を見つけると、それを克服するためのエクササイズを作り、困難を乗り越えられるまで取り組みます。
それだけです。
しかし無限のエクササイズです。
皆さんも自分なりの取り組み方を探っていってください。
ローマは一日にしてならずです。
地道に取り組みましょう。
また、どうしても弾けないフレーズがある場合などは、それを克服するためのエクササイズをお教えしますので、私のホームページから遠慮なくご相談ください。
今回は「ギターの上達法(効果的な練習方法)」について解説しました。
ライタープロフィール
ギタリスト
大沢稔
作曲家、ギタリスト、マルチインストゥルメンタリスト。
パリ国立地方音楽院クラシックギター科卒。
フランスのブーローニュ・ビヤンクール国立地方音楽院、オルセー県立音楽院のクラシックギター科教授歴任。
現在、新潟県上越市にて自身の創作、演奏活動を、また、ギター・英語・フランス語教室を主宰している。
大沢ギター・英語・フランス語教室
http://minoruohsawa.wixsite.com/ohsawaguitar